驚愕の記憶、VOL 5

 皆さん、こんにちは。例によって唐突ですが(笑)、「驚愕」って言葉の意味わかりますか?わかりますよね。「驚愕」または「驚き」とは動物が予期しない事象を体験した時に起こる瞬間的な感情のこと、らしいです。人生60年の間には驚愕することが沢山ありました。そんな驚愕のなかで、今も忘れられなくて私の記憶に入っているものを、児童期から順を追って20題ほどご紹介します。名付けて「驚愕の記憶」。今回は「突然のご指名」

 今まで無数の結婚式に出席させていただきましたが、2回だけ突然、スピーチのご指名を受けたことがあります。勿論、うまくこなして笑いを取りました。そして実は結婚式以外でも突然のご指名をされたことがあります。これが今回の本題です。これには超超超ビックリ!!!。今でも我ながらよくやった、と思っています。

 それは自分がポッカに入社して2年目の1984(昭和59)年の初夏に岐阜県岐阜市の長良川で行われたポッカのお客様接待の「鵜飼船イベント」でのこと。「鵜飼」わかりますよね?屋形船に乗船し、飲み食いしながら長良川の真ん中くらいまで行く。そこで鵜匠が川にいる鵜を捕まえる見事な手綱さばきを見せて盛り上げる。それが終わったら、またゆっくり船が岸に戻ってくるという所要時間は約45分のイベントです。

 その日は全国から選ばれた10人のお客様(スーパーのバイヤーさん等)とそのエスコート役のポッカの営業マン10人(そのうちの1人が自分)。そして全体的なイベントスタッフとして、名古屋のポッカ本社の人間も5人くらい乗船していました。鵜匠の見事な手綱さばきも終わり「あとは船が岸に戻るまでの静かな時間を過ごすだけ」と思って自分が連れてきたお客様と談笑していたら、本社スタッフの1人だった神野さん(自分よりも3年先輩)が自分に声を掛けてきました。その時の会話がこれ👇

 神野さん「堀場、上瀧部長(取締役)がお呼びだよ。上瀧部長のところに行ってくれ」 自分「えっ?何でですか?何か叱られる様なことしましたっけ?」 神野さん「わからん。でもとにかく上瀧部長が『堀場を呼んで来い』って言うんだよ」

 そもそも当時の自分は若干23歳。それも地方の営業所(立川営業所)の単なる営業マンでしかなかったので、上瀧部長が自分の名前をご存知だったことに先ずビックリ。なので「名指しでお呼び出しなんて、これは相当に逆鱗に触れたことをやらかしたんだ」「でもこの場で怒らなくてもいいじゃん」などといろいろな思いを巡らせ、超ビビりながら鵜飼船の後方にデンと座っていた上瀧部長のところに行きました。その時の会話がこれ👇

 自分「お疲れ様です。立川営業所の堀場と申します。お呼びでしょうか?」上瀧部長「おぉ。堀場、アレをやれ!」自分「(何のことかサッパリ意味がわからなかったので、キョトンとして)えっ?アレ?アレって何ですか?」上瀧部長「アレだよ、アレ。お前の得意なドラゴンズのやつだよ!」

 ここで話は約半年前の12月の本社研修の時にタイムスリップします。自分はその研修に参加しており、その研修最終日の打ち上げ会で、当時のドラゴンズのスタメン9人の選手の応援テーマ曲を歌いながら、9杯連続のビールの一気飲みを披露しました。上瀧部長はその時の様子を憶えておられたみたいで、それを「今からこの場でやれ!」という超ムチャ振りをしてきたのです。大体のことにはそんなに物怖じしない自分ですが、雲の上の様な存在であった上瀧部長からの突然のご指名と命令でしたし、船内のほぼ全員が今日が初対面の人ばかり。更にそれをやったとしても逆にシラケるかもしれないので、流石に躊躇しましたねぇ。

 しかし直ぐに「上瀧部長がこんな2年目の若造をせっかく指名してくれたのに、ここで拒んだら一生後悔するかも」と思い直し、「ハイ!わかりました!やります!」と言って、船内の先頭のところに出て行きました。つかみの口上(前振り)は即興でその場で考えて、その間にビールを9杯分準備してもらった。で、準備が整ったところで大きな声で、当時のトップバッター田尾選手のテーマ曲の「鉄腕アトム」から始めて無事にラストバッター小松投手のところまで、応援ソング熱唱付きの(笑)9杯連続の一気飲み。船内は大盛り上がりしました。そして終わった頃に丁度同じタイミングで船も無事に岸に到着。完璧なタイムスケジュールでした(笑)!

 後に上瀧部長に「何故、あの場面で自分に一気飲みをやらせたのですか?」と訊いたら「船内のお客様が静かでちょっと退屈そうだったし、お前ならこの状況を察して拒まない、と思ったからだよ」という答えが返ってきました。今も鮮明に記憶している初夏の出来事でした。