驚愕の記憶、VOL 7

 皆さん、こんにちは。例によって唐突ですが(笑)、「驚愕」って言葉の意味わかりますか?わかりますよね。「驚愕」または「驚き」とは動物が予期しない事象を体験した時に起こる瞬間的な感情のこと、らしいです。人生60年の間には驚愕することが沢山ありました。そんな驚愕のなかで、今も忘れられなくて私の記憶に入っているものを、児童期から順を追って20題ほどご紹介します。名付けて「驚愕の記憶」。今回は「谷田さんへの怒り」 

 谷田さんとは、自分が新卒で19年間勤務したポッカの創業者である谷田利景さんのこと。谷田さんの略歴。

・1926(大正15)年11月に名古屋で生まれ

・1957(昭和32)年にポッカの前身であるニッカレモン(株)を設立

・1982(昭和57)年に(株)ポッカコーポレーションに商号変更

・2009(平成21)年に創業者最高顧問を退任

・2018(平成30)年に満91歳で永眠

 自分のサラリーマン生活のちょうど半分を勤めた会社のオーナーなので、ホントに沢山の影響を受けました。と言っても自分は現役時代は2年間しか本社に在籍していなかったので、そんなに接点があったわけではありませんが。  ただその2年間で一つすご~く濃い~思い出がありました。これは1991(平成3)年の1月頃だったと思います。当時、谷田さんは超ワンマンな経営者でした。オーナー社長とは大体そんなもんだし、ましてや当時のポッカはまだまだ成長途上の会社でしたので、余計に谷田さんが会社を引っ張っているという感じでした。故に、新製品については味は勿論、デザイン、ロゴ、ロゴの位置、カタログの構成等全て、谷田さんの承認が必要でした。

 その1月のある日、谷田さんにその年の秋に発売予定のスープの新製品の提案会議を行った時のこと。司会進行役は私でした。既にこの時点で提案会議は3回目くらいだったので、前回の会議で承認をいただいた「商品のコンセプト」のおさらいを私が発表し始めて直ぐのこと。谷田さんが言いました。

谷田さん「こんな商品のコンセプトは誰が認めたわけよ?」 「えっ!?。いや前回の会議の最後に谷田社長から御承認をいただきました内容の通りですが」 谷田さん(自分が答えたのが終わるか終わらないかくらいで)「こんな商品を認めるわけがないわ。何を言っとるんだ(怒)!」 ※一応、念のためにお伝えしますが、確かに前回の会議で谷田さんからはこのコンセプトについてご承認をいただいています。その会議に出席していた約10人全員がわかっているし、何より議事録にもキチンと書いてあります。急に言うことが変わったんです(泣)。 ちゃんと谷田さんの意思も反映した上で進めているにも関わらず、いきなり大前提をひっくり返す発言に全員が超超超ビックリ!

 この後も谷田さんからの私への集中砲火は止まらず、こうなると他の出席者も誰も谷田さんを止められない。途中からこの状況をアホらしく感じた私はず~っと視線を天井に向けて明らかにふて腐れていました。そしたら谷田さんから次の一声が。 谷田さん「何だ、その顔は(怒)!」 「すみません、この顔は生まれつきです(怒)!」  ※思わず直ぐに反論してしまいました。隣にいた上司が私の足をチョンチョンと蹴って、「もうそれ以上言うな」という意味のアクションを起こしてきましたが、もう私も怒りを抑えきれませんでした。勿論谷田さんも、谷田さんに反論してきた私に対して怒り心頭。一触即発寸前でした。しかしちょうど谷田さんに来客があったこともあり、退席してしまい、この日の会議は無効に。結果的には後日、改めて開かれた提案会議で谷田さんの誤解も解けたのですが、私としては憤懣やるかたない一日を過ごした思い出がありますね。

 余談ですが、この3か月後の4月に私は、2年間という超短い本社生活から釈放(?)され、東京東営業所に転勤になりました。この時の谷田さんへの対応がこの転勤に影響を及ぼしているのかどうかはわかりませんが(笑)。

 この時取った対応については、若気の至りから礼を失した点を「反省はしている」けど、全く「後悔はしていません」。

 2018年に谷田さんが死去された時の中日新聞の記事です。👇